2018-01-01から1年間の記事一覧

It is'nt 第1章 070節

実は僕が参加する前に、撮影はスタートしていた。それは主人公がリーゼントのまま演技をする場面だ。下着姿になる女優に配慮して最小限のスタッフで撮影されていたらしい。 そのシーンは、これから起きるハイな世界に入る前の主人公が、彼女を責める場面であ…

It is'nt 第1章 060節

いよいよ撮影が始まる。照明の熱で部屋は物凄い暑さだが、誰もが呼吸を止めたような感覚になる。時間の流れが徐々に遅くなり、監督の「スタート!」という大声が響き渡ると、主人公は徐々にポマードで固めたリーゼントを安全カミソリで耳の付け根からそぎ落…

It is'nt 第1章 05節

この時、僕が考えていたことは、能動を誘導するか、受動に任せるかということだった。本ならば「どのようにして次のページをめくってもらえるかと、考えるところ。映画では、先に時間を設定しており、その時間にどのように楽しんでもらうか。面白いと思って…

It is'nt 第1章 040節

帰宅して最初にするべきことは、自分の部屋に電話器を置くことだった。本屋でその手の本を読み漁り、電話機を並列させることができると知る。つまり1本の電話線に2台の電話機をつなぐことができるのだ。すぐに電話機と電話線を購入するため(今でいう)リサ…

It is'nt 第1章 030節

日本で唯一映画学科が存在する世界大学のまさにおひざ元の江古田で、僕の映画へのチャレンジは始まった。そこに居た監督は世界大学芸術学部映画学科在籍でありながら日本のメジャー配給会社に2本の映画を配給させた岩井氏であり、プロデューサーは照治大学映…

題名:It is'nt 第1章 020節

「やる気だけはあります!しかし、何をやったら良いかが全く分かりません」と素直に告げると山形氏は「ではアシスタントとして私か岩田監督に付いてもらうことになると思います」と言い、続けて「現在は16ミリモノクロフィルムで撮影する短編の企画を進めて…

Whle my guitar gently weeps 「it is'nt」

■題名:It is'nt 第1章 010節 西暦19XX年。名門高校へ上から一桁台の成績で入学し、下から一桁台で卒業した僕は、有り余るエネルギーを何に向けたら良いのかわからずにいた。 親には「有名大学を受験したいので、浪人して受験に向けて研鑽を積みたい」などと…